普及学会の大会に行ってきた。
昨年、この大会で学会賞をいただいてからもう1年、早いもんである。
今回のシンポジウムでは産地作りの普及活動について報告があった。
二つの産地作り事例とコーチング、ナレッジマネジメントの話だった。
要は、二つの事例から産地作りのためには何が必要で、普及活動をどのように組み立てていくかを整理すること、そして参加者はそれを聞いて学ぼうと言うことである。
C県のカンショの産地作りの話はよくわかった。
とくに、産地作りというものは個別経営の所得を重視して、そこからマーケティングなど必要な活動を組み立てていくというのは、スッと腑に落ちる話だった。
今まで、この種のシンポジウムは、普及職員の間でかなり行われてきたはずである。私も普及員だった若い頃に何度か聞いた覚えがある。しかし、そのどれもが「体験発表会」で終わってきたような気がする。今度のシンポジウムはコーディネーターのうまい仕切りのお陰で一歩前進したのではないだろうか。
せっかくの普及学会なのだから、産地作りに必要な(いわば)「七つ道具」とその使い方、目標設定と活動方法などを多数の事例から導き出すような仕事をしてもいいのではないか。
駆け出しの普及員の頃、何をやったらよいかわからず見よう見まねで先輩のマネをした。しかし、先輩を外すと非常に孤独な戦いを強いられる畜産担当だった私は、うまく仕事が組み立てられず、自信満々でやった仕事はほとんどなかった。10年もやったのに。
そのとき「七つ道具」のような、形式知になったものがあれば助かったと思う。現在、国内で普及学をテーマにしている研究者は数少ないであろうが、高齢化率が50%を超える地域が当たり前になってしまった、曲がり角を曲がりきってどん詰まりまで来た農業・農村に、今こそ実践的な農業普及研究が求められているのではないだろうか?
普及の力を見せつけて、事業仕分けでゼロ査定した民主党の皆さんを見返してクレ!
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