2011年3月26日土曜日

原発事故と農業

「福島県が全農家に作業中断要請」という記事が出ている(日経web刊 2011/3/26 0:25)。
とうとうここまで来たか、という感じである。
私の立ち回り先のスーパーでは、今週に入ってからは、ほうれん草、コマツナなどの葉ものは全て千葉県産になっていた。福島の農産物は、少なくとも現状では壊滅的な被害を受けているのだと思う。野菜と酪農に限らず「稲作も様子を見よ」ということらしい。

福島産だけでなく、千葉産も旭のシュンギクで基準値を超えたほか、今日になって多古町産のほうれん草、それからお隣の東京では、東京農試の江戸川分場のコマツナからも検出されてしまった。このようなニュースが出ると、多古のほうれん草だけでなく千葉県産のほうれん草、コマツナ、江戸川産のコマツナも取引ができなくなるに違いない。

また、地震によって千葉県の穀倉地帯の香取地域で用水のパイプラインが壊れ、1/3は作付けできないというニュースも流れている。福島県の稲作も「様子を見る」ということであれば、生産目標を守らないワースト2の両県の生産量が相当減ることになり、次の米穀年度は需給が逼迫し、コメ価格が相当上昇するのではないだろうか。

いったいこの被害はどこまで広がるのであろうか。補償問題はどのように解決するつもりなのだろうか。ホビー農業をしている農家ならともかく、主業農家では近々に資金ショートを起こす経営も出てこよう。とくに、酪農家は毎日のエサ代もかなりの額にのぼり、持ちこたえられない経営がすぐにも出てくる。少なくとも、緊急に運転資金を無利子で融資するようなことをしなければならないと思う。

福島県の酪農家は、毎日、搾った牛乳を捨てている。
チェルノブイリの子供たちが甲状腺ガンになった原因は、汚染されたミルクを飲み続けたというのが大きいらしい。だから、福島の牛乳もそのまま飲むわけにはいかない。
しかし、どこかの大学の先生が書いていたのだが、捨てる必要はないのだ、という。なぜならヨウ素131の半減期は8日だからだ。もしチーズを作り、長期保存したら放射性ヨウ素は消えてなくなる。3ヶ月も経てばほとんどなくなるはずである。ヨウ素はβ崩壊でキセノンに変わるので、キセノンリッチなチーズになる。いや、キセノンは希ガスだから抜けちまうか。もし、残ってても原子軌道は全て電子で埋まっているので、何かと化合することはない。だから安全だ。たぶん。

2011年3月23日水曜日

津波が襲った地域は復興してはならない

仕事中、ツイッターのTLを覗いたら、標記の内容が書いてあってビックリ。
大前研一氏がいったのだそうだ。
津波に襲われた地域は、いつか再びおそわれるであろうから、そこを復興してはならないということらしい。

三陸では大昔から何度も津波に襲われてきて、実はあちこちに「ここから下に家を建ててはならない」という石碑があるのだそうだ。



この動画を見ると、本当に考えさせられる。
今から5年も前の放送であるというのが悲しい。
なぜ、防止できなかったのか。本当に想定外だったのか。
大昔の痛みは、話としては伝わるが、実感は伝わらない。日本人から戦争の傷みが忘れられていくのと同じだ。実感として感じた人が死んでしまえば、いくら悲惨な話を語り継いでも 、そう長く伝わるものではないのだろう。
人間なんてそんなものなのだろうか。

2011年3月17日木曜日

原発

福島第一原発がえらいことになっている。
政府もマスコミも健康には全く問題ないレベルといっているが本当なのか?
実は、すぐに逃げ出した方がいいのではないのか?
上杉隆氏のツイッターでは、すでに複数国が自国民に日本からの退避勧告を出しているという話もある。しかしわれわれはどこへ行けばいいのか。 家族もいる、ジジ・ババもいる、犬もいる、仕事もある。しかも放射能は目に見えない。何が大丈夫で、何がヤバイかワカランのだ。困ったもんだ。

東北地方の被災者の皆さんは、津波で家を奪われた上、目に見えない恐怖と直面している。
とにかく、一刻も早く封じ込めが成功するように祈るしかない、われわれとしては・・・
しかし、あそこまで暴走して封じ込めることが本当に可能なのだろうか。

なぜあれだけ注水を続けているのに燃料棒が露出してしまうのだろうか?
おそらく蒸発してしまうのだろう。原子力発電は、核分裂の時に生じる恐ろしいエネルギーを熱に変換し、蒸気を作ってタービンを回し発電している。核分裂の時に核から飛び出す中性子が別のウランの核にあたり、それが分裂しまた中性子が飛び出しという具合に連鎖するのだが、これがいっぺんに起これば原爆になるし、中性子を吸収する制御棒でうまいことコントロールすると原子炉になる。まあ、ここまでは高校の物理で習った範囲だ。

今回の事故では、最初に制御棒が入っており、核分裂の連鎖はおさまっているということだが、何しろものすごい熱を持っているために水がどんどん蒸発してしまって、燃料棒の全体を覆うに至らないということだ。 ニューヨークタイムズのマルチメディア解説が非常にわかりやすかった。英語であるが、ほとんどが絵で、文章も簡単なのでおすすめだ。しかし、たぶん登録しないと全部は読めない。

ワシのアドレスには何年も前から、毎日ニューヨークタイムズのメールが来る。その日の記事が簡単に紹介されたものなのだが、新聞の英語は難しいし、面倒くさいのでたまにしか読まない。
しかし、今回、地震が発生して以来、トップ記事は全て東北地方太平洋沖地震関連なのだ。関心の高さが伺える。とくに、オバマ政権は原発を推進しているので、今回の事故は相当注視しているはずだ。で、記事の本文もいいのだが、マルチメディア解説やらビデオやら、非常にわかりやすく伝えている。日本の新聞社に比べると一日の長があるような気がする。

とにかく、今、われわれとしては見守るしかない。
決死の覚悟の作業員のみなさまにはなんとか踏ん張っていただきたい。
総括はそのあとだ。しかし、必ず行わなければならない。自分たちを含めて。

2011年3月12日土曜日

Powerful Quake

大地震、起きてしまった。
揺れ始めたとき、トイレにいて扉がカタカタ鳴ったので、「あれ、風が出てきたのかな」と思ったら、いつまでもやまない。「こりゃあ、地震だ」と気づき研究室へ駆け上がる。

そのうち収まるだろうと思っていたら、だんだん大きくなり、いつまでも収まらない。統計資料が入っている棚をみていると、ざらざらと重たい統計書が落ちてくる。本の前にいなくてよかった。
テレビからは宮城県沖が震源だと伝わってくる。それにしちゃあデカイ、しかも長い。いったいどんな大きさなんだ。
重たい統計書がザラザラ落ちた

統計書の中でも重量級の農林水産省統計表が全部落下
我が研究室の建物は昭和40年頃、農業短大の教室として建てられた代物で、昔からよく揺れ、ちょっと体重の重いやつが早足で歩くとかなり振動する。
床は梁のあるところが高くなっているため、梁の下にいるのが一番安全だと以前から信じていた。信頼するスジからの情報ではない。ワシが勝手にそう思っているだけだ。
そこで、今回も梁の下にいて、自分のpcを押さえていた。特に、ナナオ製24型液晶ディスプレイ(高かったのよ)が落ちそうになり、ぐっと手で押さえ込んでいた。

下の写真は私のデスクである。机の上に乗っかっていた書籍、雑誌、書類がみんな落っこちて、重たい書類の入っている机の引き出しが飛び出してきた。ナナオ製24型液晶ディスプレイは右端。



ちょっと揺れが収まったので、研究室から出ると壁には新たにできたヒビが。

 外に出ると、建物の基礎が割れていた。あなおそろし。



しばらくすると西の空が暗い。みていると雲ではなく煙のようだ。真っ黒だ。
テレビのニュースからはJFEスチールの工場が燃えているといっている。
私が毎朝毎晩横を通っているところだ。すぐ隣にはJEF千葉の本拠地フクアリがある。
と思っていたらものすごい爆発音とともにビリビリッと窓をふるわせる空振が。
本当に恐怖を感じた。
東北地方の皆さんには申し訳ないが、遠く離れていて助かった。
と同時に、言語に尽くしがたい被害が出るであろうということがわかった。

下のビデオは職場の屋上から西の空を見たものである。
赤いのはJFEスチールの炎かそれともコスモの炎か。
時々炎が吹き上がるのが確認できると思う。
エライことになった、と思った。

3/13註
県警は、JFEスチールの煙は火災ではなかったと確認。この動画にある炎、それから爆発音はコスモ石油のものであろう。


2011年3月10日木曜日

フィドル2連発

ポール・ウォーレンのフィドルを2連発でどうぞ。すごいです。
まずはListen to the mockingbird。
我々が昔夢中になって聞いていたのは、すでにブルーグラス第2世代の人たち。
初めてこの曲を聴いたのはKentucky Colonelsのライブ。
そうです、スコッティ・ストーンマンのフィドルでした。
私はそれまでフィドルが嫌いだったんだけど、スコッティのモッキンバードを聞いてそれまでのフィドル嫌いがいっぺんに吹っ飛びました。
ブルーグラス第1世代、フラット・アンド・スクラッグスとフォギーマウンテンボーイズのポール・ウォーレンも負けず劣らずすごいです。


お次は、オレンジです。
モッキンバードはフォギーマウンテンボーイズですが、こちらはナッシュビルグラス時代です。
やはり、ローランド・ホワイトがいます。
どうぞ。
ブルーグラスフィドルを聞いたことのない方・・・偏見を持たずに聞いて下さいよ。
素晴らしいから。

2011年3月6日日曜日

Lester Flatt

YouTube というのは本当にすごい。
もちろん、前からいろいろ見てはいたが、時々すごいものを発見する。

今回発見したのはレスター・フラットのナッシュビル・グラスの映像である。
1971年の映像だという。ワシが中学1年生の頃だ。
そんなに古いのに、これが非常にキレイなのである。

この動画は、レスターとマック・ワイズマンがデュエットで歌う "The Bluebird Singing"である。30歳の頃参加していたバンドでやっていたので懐かしかった。
レスターの他に、アンクル・ジョッシュもいるし、ポール・ウォーレンもいる。そして、なんと、若き日のローランド・ホワイトがいる。

ワタシは非常に嬉しい。

農業普及研究を!

普及学会の大会に行ってきた。
昨年、この大会で学会賞をいただいてからもう1年、早いもんである。

今回のシンポジウムでは産地作りの普及活動について報告があった。
二つの産地作り事例とコーチング、ナレッジマネジメントの話だった。
要は、二つの事例から産地作りのためには何が必要で、普及活動をどのように組み立てていくかを整理すること、そして参加者はそれを聞いて学ぼうと言うことである。

C県のカンショの産地作りの話はよくわかった。
とくに、産地作りというものは個別経営の所得を重視して、そこからマーケティングなど必要な活動を組み立てていくというのは、スッと腑に落ちる話だった。

今まで、この種のシンポジウムは、普及職員の間でかなり行われてきたはずである。私も普及員だった若い頃に何度か聞いた覚えがある。しかし、そのどれもが「体験発表会」で終わってきたような気がする。今度のシンポジウムはコーディネーターのうまい仕切りのお陰で一歩前進したのではないだろうか。

せっかくの普及学会なのだから、産地作りに必要な(いわば)「七つ道具」とその使い方、目標設定と活動方法などを多数の事例から導き出すような仕事をしてもいいのではないか。

駆け出しの普及員の頃、何をやったらよいかわからず見よう見まねで先輩のマネをした。しかし、先輩を外すと非常に孤独な戦いを強いられる畜産担当だった私は、うまく仕事が組み立てられず、自信満々でやった仕事はほとんどなかった。10年もやったのに。

そのとき「七つ道具」のような、形式知になったものがあれば助かったと思う。現在、国内で普及学をテーマにしている研究者は数少ないであろうが、高齢化率が50%を超える地域が当たり前になってしまった、曲がり角を曲がりきってどん詰まりまで来た農業・農村に、今こそ実践的な農業普及研究が求められているのではないだろうか?

普及の力を見せつけて、事業仕分けでゼロ査定した民主党の皆さんを見返してクレ!